第3話 マッサージ娘

12月 21, 2020

見てはいけないホントのアオザイ娘


〜第3話 マッサージ娘〜

ベトナムにはマッサージ屋がたくさんある。といってもまぁ観光向けのマッサージから、流行のスパ、駐在員向けや現地人向けのマッサージ、風俗マッサージまで様々なものが存在する。今回コラムとして書くのは駐在員向けのマッサージで出会った娘の話である。

わたしは駐在員として、外国人向けのサービスアパートに住んでいた。値段はひと月あたり1500ドル。1LDKの部屋に風呂、トイレ、カウンターキッチン、一通りの家具は揃っていた。朝食付きで、アパート全体の使用人がいるために掃除、洗濯は全てやってくれる。中にはジムもあり、プールも付いていた。と、書くと非常に聞こえはいいのだが、実態はパサパサの不味い朝食、プールは汚く誰も使用しない、洗濯は誰か知らない下着が入っていたり行方不明になったり。最終的には勝手に洋服のタグに部屋番号をサインペンで書かれる始末。毎日ストレスの連続だった。

だがそんな中で唯一わたしがひんぱんに利用をしていたのがアパートの近くにあったマッサージ店だった。客層は駐在員の外国人がほとんどだったが、たまにベトナム人も来ていた。2階建てで、清潔感があるとは言えなかったが、それほど悪くもなかった。1階で受付を済ませてから2階に行くと3,4人のマッサージ嬢が待機していて個室に案内される。指名は出来ない。というか当時わたしがベトナム語があまり出来なかったので、言われるがままにしていたのが本当のところだ。

観光向けのマッサージにはフットマッサージが多いのだが、そこはボディマッサージ1つのみのコースで、1時間90,000vnd(おおよそ450円)だった。話はそれるが、よくベトナムトラディショナルマッサージと書いてある店が多いのだが、個人的にはオススメしない。理由は全然気持ちよくないからだ。指圧や揉む、ストレッチなどのたぐいでなく、体をひっかかれたり、背中の皮膚を引っ張られたり、重たい体で乗られたりとストレスがたまった上に、チップを要求されるので後味が悪い。

そしてこの店はその典型的なトラディショナルマッサージだった。ではなぜ多くの駐在員が通っていたのか。それは別のところにあった。

その店のマッサージの娘達はユニフォームを着ていた。それが妙にエロい。ミニスカートにポロシャツという姿で、施術中はずっとチラ見せ状態である。初めてこの店に足を運んだ時は、見てはいけないと、目を閉じて寝たふりをしていた。気持ちよくないマッサージが始まって45分ぐらいだろうか。私はもうここには二度と来るまいと考えていた時である。突然マッサージ娘がわたしの太ももから下腹部をなで始めた。そしてわたしの顔をずっと見ている。ずっとその状況が続くものだから、わたしもこれはもしや噂のアレなのか?と確認するために、覚えたてのベトナム語で言った。

「ばお にゅー てぃえん?」(いくらだ?)

するとマッサージの娘は2本の指を立てる。20万ドン。マッサージのコースより高いチップの要求に抵抗を感じながら首を振っていると、最終的に10万ドンまで値下げされた。内容はライトなものであったが、いい暇つぶしにはなった。

ある日、いつものようにそのマッサージの店に行くと、20歳程度の少しぽっちゃり気味のマッサージ娘がわたしに付いた。名前は覚えていないが、大きな胸が印象的だった。
一通りの施術を終え、スペシャルの頃合いになるがその時はいつもと違った。どうやら彼女は何度か店に通っていた私を覚えていたらしく、アパートの名前も知っていた。そして何やら携帯を取り出し、番号をたずねてきたのであった。
そして彼女は片言の英語を交えつつ、「今夜アナタの部屋に行きたい」みたいなことを言ってきた。またここで意思の弱い私は番号と部屋の番号を教えてしまったのだった。
結局マッサージはスペシャルのないまま終わったが、いつも通りのチップを渡し、今夜を待つ事とした。

夜9時。アパートから見えていたマッサージの店の明かりが消え、そろそろ連絡が来るだろうかと携帯をチェックする。
だがいくど待てども、彼女が部屋に来るどころか、連絡すら来なかった。

夜12時を回ってようやくあきらめがつき、自分の馬鹿さ加減にあきれてしまっていた。
その時の事を今になって冷静に分析してみると、敗因はスペシャルがないのにチップをはずんでしまった事。それからベトナム人のいい加減さを理解していなかったことだろう。それを彼女はバカな日本人に教えてくれたのであった。

私は今回のことを糧に、今後のベトナムライフにおいて二度と同じ失敗は犯すまいと心に近いつつ、これから何度も同じ目に遭うのでありました。

[第3話 マッサージ娘 終わり]


あとがき
ベトカラでは売春・風俗を推奨していません。ベトナムでは風俗営業が禁止されておりますのでご注意下さい。

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