第6話 南部からやってきたVIPマッサージ娘

12月 21, 2020

見てはいけないホントのアオザイ娘


〜南部からやってきたVIPマッサージ娘〜

旧市街を離れ、タクシーでハノイの大通りを行くと、マッサージVIPと書かれた看板をたびたび目にする事が出来る。
といってもベトナムのVIPほど信じられないものはない。ただの個室をVIPと呼んだり、大部屋だからVIPなどと使う。

だがしかしどうだろう。実はここは駐在員をとりこにしてしまう、”いけないアオザイ娘達”がいるのである。
中の作りは大体が4~5階の一軒家まるごとを使用し、1階が受付になっている。ボーイが待機し、客を案内する。
カウンターにはマッサージメニューが置かれており、1時間30分で25万ドン~40万ドンあたりで用意されているが、値段の違いは薬草を使ったりやらなんやらであまり価値はないように思える。

この手のお店、なんとほとんどがエレベーター付きで、ボーイに案内されながら乗るエレベーターの中は、ドキドキさせてくれる瞬間である。そして上の階の個室に案内されるのだが、そこにあったのは、マッサージに使われるいつもの手術台ベッドに加え、クローゼット、ナイトテーブル、絵画、バスタブ、パーソナルサウナが設置されていてマッサージにしては確かにVIPな作りなのである。

果たしてここで何が始まるかと言うと、、、

ミニスカの女の子がお風呂に入れてくれて、マッサージをしてくれる場所である。
そして女の子と客の個人的交渉により、お触りが出来て、通常のスペシャルがある。もちろん違法で、店は見て見ぬフリ。女の子は個室に設置された小窓に注意しながら、お小遣い稼ぎをする。
チップは40万ドン~50万ドン。値切り交渉は出来るが、最近はチップの売上げを店のオーナーに記録されていて、あまりにひどいチップだと女の子が怒られるので、相場を知った後は交渉をしなくなった。

ここまで説明しておいて申し訳ないが、風俗としては中途半端で、正直高いと思う。接待にはウケが良かったので、時折利用していたが、内容を知った後に興味を失ったのが本当のところである。
よく私は、体を洗ってもらったあと、マッサージやスペシャルをお願いすることなく女の子と話をしていた。そこで私は、外では言えない現地の情報を収集していたのだ。
その時によく話し相手をしてくれたのが、いつも利用していたHoan Quoc Viet通りにあるVIPマッサージにいた18番の女の子である。

今はもういないだろうが、目が大きく、肌が小麦色でとても愛嬌のいいショートカットの子だった。
初めて会った時に簡単な言葉を交わしたのだが、どうも聞き取りにくく、彼女にホーチミンの出身か?と訪ねたところ、そうだと彼女は答えた。

それ以来、わたしは北部と南部の発音の違いが聞き取れるようになったのだが、ここで気付いたのは風俗のお店に行くと、南部の出身が非常に多いということだった。
彼女が言うには、出稼ぎで一番手っ取り早いのがこういうお店だという。だが会話の中で「あまりやりたくないが仕方がない」という言葉が印象的だった。
他には、どこのマッサージの個室にも小窓があるのは警察が取り締まれるようにで、この店にも何度も来たことがあるなどと教えてくれた。

ある日、日本への一時帰国を終えてハノイに戻ってくる時に日本の扇子を購入した。安物ではあったが、彼女は非常に喜び、子供のようにはしゃいでいたのを覚えている。初めて会った時はどこか仏頂面だったが、この笑顔を見ると本当はこんな子なんだなとしみじみ感じた。

もうすぐホーチミンに帰ると言っていたが、今はどこにいるのだろうか?それ以来、私はあの店に行っていない。
だが今日もわたしは、ホントのアオザイ娘を探している。

[第6話 南部からやってきたVIPマッサージ娘 終わり]


あとがき
ベトカラでは売春・風俗を推奨していません。ベトナムでは風俗営業が禁止されておりますのでご注意下さい。