第1話 初めて見たアオザイ娘達

12月 21, 2020

見てはいけないホントのアオザイ娘


〜第1話 初めて見たアオザイ娘達〜

私が出会った初めてのアオザイ娘達。
今となっては店の名前すら覚えていないが、夜の世界とは無縁だった私に十分すぎるほどの印象を与えてくれた。
ベトナムハノイへ降り立った初日。勤め先の先輩に無理矢理つれられやってきたカラオケ。
外観はネオンで彩られ、異国の地で目にした日本語の看板に違和感がありつつも、私の鼓動はいやおうなしに早くなっていた。
店に入ると、わたしはその先の光景に圧倒された。

「イラシャイマセー!」
「イラシャイマセー!」
「イラシャイマセー!」

片言の日本語が飛び交い、真っ白なアオザイを着た何人もの若々しいベトナム人女性の視線が向けられる。
異様に恥ずかしく、まともに直視出来なかったのが本音である。

ベトナムのカラオケ店の作りは4F〜5F建てのものが多く、各フロアに2つずつ個室の部屋があるのがスタンダードである。1Fはカウンターのみのところが多く、部屋数は一般的に6~8部屋だ。

私たちのグループは2Fにある”VIP”とドアに書かれた部屋へと通された。
(ちなみにVIPはよく使われるが、ただ他の部屋より大きめというだけで、値段も同じである)

しばらくすると、トントンとドアがノックされ、日本語の流ちょうな女性のコンバンワ〜、という声の後から、続々と先ほど目にしたアオザイ娘達が部屋に入ってきた。
その人数は10をゆうに超えていた。

「はい、オナノコを選んでくださーい」

マネージャー(通称チーママ)らしきその女性が合図すると、アオザイ娘達は綺麗に列を作り、笑顔を向けてアピールをする。
私がオドオドしていると、先輩に催促され、慌てて細身の女性を選んだ。
先輩方はすでに女の子が決まっていたらしく、わたしの指名が終わるとそそくさとアオザイ娘達は部屋を出て行き、指名した子達がそれぞれの隣に密着して座った。

私が指名した女の子の名は、ハーという名前だった。
隣に座るなり、私の右腕に彼女の腕を絡ませてきたことには驚いた。
そして白いアオザイのスリットから、彼女の綺麗なくびれと素肌が見えていたのを覚えている。
というかそれしかほとんど覚えていない。
私は興奮やまず、会話はそこそこに彼女の良い香りをかぐっていた。

カラオケもあったが誰一人として歌わずに、互いのパートナーの呼吸が感じるほどの距離で会話を楽しんでいた。

小一時間たった頃、ハーさんは簡単な英語で電話番号を聞いてきた。
今となっては勘違いもはなはだしいのだが、
ハーさんは私に恋をしたのかもしれないと思い、不埒(ふらち)な想像をしながら私は番号を教えた。
だがあいにく、ベトナム初日で現地の携帯番号を持ってないなかった私は、
日本から持ってきたDocomoの携帯を教えた。

夜11時を過ぎ、程よく楽しんだ我々は会計を済まし、タクシーを呼んでもらった。
帰りはまた娘達が見送りをしてくれたが、その中には仕事を終えたのか、既に私服に着替えている女の子もチラホラと見えた。

帰りのタクシーの中、携帯のバイブレーションがショートメールの着信を教えた。

明日会えますか? 一緒にVan Mieuへ行きましょう。ハー。(内容は英語)

そう書かれていたが、Van Mieuを知らなかった私はどこへ行きたいのか検討もつかず、また、一歩を踏み出す勇気がなかった為に、誰にも相談することなくそのメールを閉じた。

ただ一つ確信していたことは、彼女が送ったショートメールは日本を経由して届いたので、メール代は高かったろうということだった・・・。

[第1話 初めて見たアオザイ娘達 終わり]


あとがき
初回では、日本人向けカラオケの内容をストーリー仕立てで紹介させて頂きました。これはよくある出来事なのですが、最初からいきなり番号を聞かれたり、自分が思っている以上に良くしてくれるので、つい疑心暗鬼になってしまいますが、あまり深く考えずに楽しむことをおすすめしときます。

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